ボケナスのクソミソ炒め

上手くいかない事だらけの、しょっぱくて、ブレブレで、グチャグチャになってしまった人生の中で、溜まっていく心の排泄物を出す為の最低かつ神聖な場所

転がされる石になる

彼女が欲しい41歳の今、スナックの女の子を好きになってしまった。

先日、3歳の娘と幸せな毎日を送る同級生の友達と久々に会った時、その話をしたら「まだそんな事してんのか」と笑われた。

別の友達には「スナックはだいぶ厳しそうだよね」と。

自分でも何やってんだろう、やってる場合か、と思うし、悪い言い方をすれば「いいカモにされてるだけ」な気もバリバリしている。

たまの営業LINEしか来ないし、店に行っても俺に他の客と明らかに違う顔を見せる訳でもないし、目の前にいるのに俺に背を向けてカウンターの中の女の子と喋ったり、ないがしろにされてると感じる事すらある。

でも、だからこそ、なのかもしれない。

近くの客たちがワイワイ盛り上る中、向こうから話しかけて来て、たわいもない話とか互いの昔話とか家族の話とかを俺だけに自然な感じでしてくれた時は、まるで夢の中にいるような幸せを感じる。

また、「何してるの?」(かわいい顔の絵文字つき)と営業LINEが来ただけで、「昨日は来てくれてありがとね」(同じくかわいい顔の絵文字つき)とお礼LINEが来ただけで、胸の奥に沸き上がる物を感じるのだ。

この子はなんてかわいいんだろう…と。

しかしその反対に、こっちから送った数少ないプライベートLINEを既読スルーされたもんなら、送った内容が良くなかったのかな…?、キモくて引かれたのかな…?、やっぱカモ客としか見てないから営業LINE以外はウザイだけなのかな…?とか色々と被害妄想が発動しまくってしまい、不安になり、ますます自分に自信がなくなり、そのうち「さすがに無視はヒドすぎるだろ、キモかったとしても一言ぐらい返せよ」など怒りが渦巻くようになり、悶々鬱々とした日々が続く中で、もはやこちらから軽い感じの追いLINEする気も店に行く気もなくなるくらいテンションダウンしてしまったりする。

そして、そんな状況の中、何事もなかったかのように前と変わらぬ営業LINEが来た時の喜び。

その日の内に店に行き、本人の口から「その既読スルーは単に返信するのを忘れたまま3日くらい経っちゃったからもう送らなくていっかってなっただけで別に大した意味はないよ。そんなん思ってたんだ、ごめんね」と笑顔で言われた時のハンパない安堵感と喜び。


もう我ながら呆れるくらい、絵に描いたようなアッパレの転がされ具合だ。


正直この感情は純粋な「好き」という物ではない気がする。

冷静に、客観的に見ると、俺をいい客として見てる感ビンビンだけど、俺と付き合いたい感は全然ないのだ。

さすがにここらで脈ナシと見切りをつけて次に行ったり、同時進行で他の出会いも進めるのが賢明だろう。

これ以上の進軍は蓄え、体力、精神を磨り減らすだけの無駄な消耗戦だろう。

だからと言って、ここまで来ていきなり身を引くのが後々モヤモヤしそうなのであれば、ダメ元で告白してみるのもいいかもしれない。

または、「あえて」転がされ続けるか。

そもそも水商売の女の子と客。

転がされてナンボというか、まずはいい客として認められなきゃ何も始まらないのかもしれない。


何が正しいのかはわからない。

なんにせよ、ハッキリしているのは、俺次第、俺がその子とどうなりたいのか、という事だけだ。